大学発のこどものまちからの

地域の「大人のまち」づくり

ミニたまゆり・子どものまち(川崎市多摩区百合が丘)

【写真】

地域の商店街主体の実行委員会と、大学の学生主体の学生実行委員会との2本建てで運営することで、互いの立場を知る効果が生まれている。地域内のネットワークと大学内の人的ネットワーク、そして子どもたちへの教育効果の3つを狙うことができる「こどものまち」のポテンシャルを改めて感じている。

ミニミュンヘンに倣った「こどものまち」の基本的骨格として「ハローワーク」や「市役所」「清掃局」や飲食系、工作系の多くの仕事ブースに加えて、大学が主催することで遊びに重点を置きながらもキャリア教育・市民教育を強く意識し、市長選挙のマニフェストづくりや「株式」「相場」を意識した投資教育(プログラムは試行錯誤の途上であり、今後、強化・再構築を予定)や起業のプログラムを用意してゆこうとしている。

準備期間の子どもたち

二〇〇七年三月末の第二回では、三十数名の学生ボランティアによる学生実行員会が昨年5月に結成され、地域ボランティア約一〇名参加による全体(地域)実行委員会は九月に発足。そのなかで子どもたちが構成する「子ども会議」があり、十二月に立ち上がり三月末の開会まで七回実施、毎回約五十五名(のべ四一一名)のキッズ・リーダー(子ども会議のメンバー)が参加し、出店計画や運営方針の立案に携わった。会期中のビジターの数を増やすことより、まちづくりのプロモーターとなるキッズ・リーダーの確保が重要だと考え、学校や地域教育会議への働きを強める努力をしている。

大人を対象として

私たちは地域のみなさんと作る行事として、対象としては、子どものみならず保護者・大人を巻き込んだトータルな教育活動をねらいとしている。このことから、二〇〇七からは「大人のまち」を開設して来場した保護者や大人の人たちの間で、子どもの教育について自由に意見交換をしてもらう団らんの場を設けている。ただ、今回の経験から振り替えると、本体である「子どものまち」の大人や学生サポーターの人数が足りなければ、その応援のため実行委員が出払ってしまうおそれもあるので、充分に機能させることができるよう、振り向ける人的資源のバランスも重要だと感じている。

これから

大学は川崎市麻生区、宮前区、多摩区にまたがり横浜市青葉区の境界線も近い。その地の利を生かし、地域の子ども関係市民団体との連携を強めたい。なお、第1、2回のミニたまゆりの財政は文科省の助成や大学の資金で賄ったが、今後地域の催しとして資金源の多様化、充実を図ることが課題である。