何もない空間から始め、

ワークショップで「まち」を制作して、遊ぶ。

名古屋市 子どものまち・だがねランド

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何もない空間から、ワークショップで「まち」を制作するところから始まり、最後は自分達の手でまちを取り壊して何もない空間に戻す一連が「空間把握」の機会でもあるとの基本コンセプトがある。まちの制作ワークショップでは、「商店街ってなんだろう」という導入時間を設け、その後も子ども達が考えてグループごとに話し合ってまちを制作した。

子どもたちは、「まち制作のやりたい作業」や「まち遊びのやりたいお店」をハローワークの募集チラシや町長の呼びかけの中から自分で選択した。センター職員は役場や道具屋として、「困ったとき」のチョイ相談役に徹し、学生は技術的なサポートをする一方で、子どもの目線で子どもの自由な発想を実現する際のサポート役をした(センター職員も学生も、「王子」や「博士」などといった愛称をつけ、子どもたちと横の関係を築いた)。長期間に及ぶ企画となりWSやまち遊び開催日以外の日における子どもの参加方法に工夫が必要。第1回の町長は大人だったが、07年4月のサミット参加を経て、第2回開催時には市長選挙を毎週行なうとともに、立候補する子どもたち本人のまちづくりに対する考えを秘書役の大人が対話をしながら引き出した。その他、子ども達自身が考え体感したことを「絵画コンクール」や「作文コンテスト」で絵や文字で表現し感じ取る機会を設けている。

沿革と工夫

まちづくりの交流拠点名古屋都市センターとして夏休み期間中に子どもがまちと関わる「面白い」「参加できる企画を」と「自分たちでまちを制作する」+「制作したまちで遊び、考える」という点に主眼を置いて検討し、名古屋市立大学芸術工学部教授鈴木賢一研究室の協力を得て、子どもたちが自ら考えて作ったまちの中で遊びながら学ぶ企画として実施した。まちを身近に感じることを目的に、(1)夏休み期間中を通した企画、(2)自ら参加機会のある体験型、(3)模型ではなく、実際のまちを体感できるスケール、(4)まちを身近に感じ、まちの仕組みコミュニケーション等を遊びながら考える機会、の4つ観点を満たそうとしている。

企画運営は財団法人名古屋都市センターが担い、同センターのまちづくり広場企画展示スペース(約200平米)を利用、企画中心メンバーは同センター職員が4人、鈴木研究室学生3名。ワークショップやイベント等には、学生7人〜10人程度が協力してくれた。2006年の第1回の準備期間はわずかに2ヶ月弱(構想が生まれた最初の打ち合わせから開始まで)。子どもの興味を引くようなキャッチコピーやグラフィックデザイン、マスコットキャラクター等を工夫する一方で、市内の児童館、学童保育所、放課後学級(トワイライトスクール)にチラシを配布し、併せて都市センターのホームぺージに掲載した。